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世にも奇妙な物語 ボディーレンタル


第423話 ボディレンタル

―幸せと不幸せは同じ数だけあるというが、

そんなのは嘘だ。私の幸せはどこにもない―






人生に絶望した香織は、

ネット検索で自殺幇助サイトを見つけた。

指示された待ち合わせ場所に赴いた香織は、

現れた男に麻酔薬を嗅がされ拉致される。

目を覚ました香織に、

男は旁らの車椅子の老女を指して言った。








「こちらの遠藤様に、

あなたの体を貸していただきたいのです。」






香織の脳内に特殊なチップを埋め込み、

無線で遠藤の意識とリンクさせるという。

リンク中は香織の意識と感覚は残るものの、

体の動きは遠藤に支配されてしまう。








絶望しきっている香織は多額の報酬にも

心を動かされなかったが、








「あなた、体いらないんでしょ?

だったら私に貸して頂戴」







と言う遠藤の気迫に圧倒され、引き受けることにする。

手術が終わり、若い体を得て子供のようにはしゃぐ遠藤。

自分とは全く違うテンションの高さに戸惑う香織。







やがて、香織(遠藤)は

レインボーコンピューティングというIT企業で

働くことになる。

最初は雑用だったが、

皆が手こずっているバグをいとも簡単に

修正したことで社長の信頼を得る。遠藤の能力に驚く香織。







「このお婆さん、何者なの?」









だが、長時間のリンクが原因で遠藤の容態が悪化し、医師にリンクの中止を勧告される。しかし遠藤は






「私にはあの会社でやることがあるんだ!」








と言い、リンクを続けた。







会社の昼休み中、遠藤の負担を軽減するためにリンクを切っていると、社長が話しかけてきた。







「このレインボーコンピューティングは祖父が仲間と創業したが、その仲間は独立してエンデバーソフトを設立し、今や業界を席巻している。だが今開発中のソフトが完成すれば、エンデバーに一矢報いることが出来る。」








その夜、レインボーとエンデバーについてネット検索してみた香織は、

遠藤こそがレインボーの創業者の一人にして

エンデバーの会長であることを知る。






「やることがある」という遠藤の言葉を思い出し、

不安を感じる香織。

新ソフトの発表会が翌日に迫ったが、 

スタッフは原因不明のバグに悩まされていた。






その夜、遠藤は突然会社に行くと言い出す。

やはりバグは遠藤の仕業なのか…







だが、オフィスに入った香織の目に飛び込んできたのは、同僚がUSBメモリーから開発用PCにウィルスを送り込もうとしている光景だった。その男は別のライバル会社のスパイだったのだ。USBメモリーを引き抜こうとして男と揉合いになる香織(遠藤)。その時突然リンクが切れてしまう。それでも香織は必死でマシンを守った。やがて社長が現れ、スパイは立ち去る。礼を言う社長に香織は「お礼を言われるべきなのは私じゃありません。」と言ってその場を去った。








香織が駆けつけたとき、既に遠藤は危篤状態だった。

苦しい息の下で香織に語りかける遠藤。







「私と社長のお祖父さんはかつて恋人同士だった。別れてしまったけれど、あの人が苦しいときに助けてあげられなかったことがいつも心残りだった。あなたのおかげであの人の作った会社を助けることが出来た。ありがとう」






そう言うと、遠藤は息を引き取った。

それからしばらく後。






別人のように生き生きとして

就職活動に励む香織の姿があった。









―幸せと不幸せは同じ数だけあるというが、

そんなのは嘘だ。幸せはどこにでもある―